ハルヒちゃん 「さようなら」そして「こんにちは」
山本太郎が山本太郎として
何の疑問も抱かず山田太郎として
生活していくためのは
山田太郎は山田太郎として
山田太郎でなければならない
山田太郎が山田太郎として
ごくごく普通の生活をして
いたとしよう
ある日山田太郎が仕事を
終えて山田太郎の住み慣れた
町へ戻って来た
よく見知った隣近所の連中も
行きつけの居酒屋の
おにいちゃも誰一人
山田太郎と顔を合わせようとしない
「よっ 元気 坊や 宿題終わったか」
小さい頃からよ面倒見ていた仲良し坊や
その坊やが泣き出して母親にしがみつく
今日が給料日だった山田太郎の
ふところには
折りたためない位に
札束が入った財布が忍ばせてある
踵を返し馴染みのヘルスへと
向かった
何十回と通いつめ最近では
「内緒よ・・ねっ」といいながら
やらせてくれる
痛いほどに膨れあがった股間を
押さえながらいつものあの子を
待合室のソファーで待つ
表れるいつものあの子
「いらっしゃいませ・・・」
「・・・(えっ!)・・・・」
「いつものあの子です よろしく」
「・・・・(えっ!)・・・・・・」
いつものあの子に案内されて
いつもの小部屋にやって来た
山田太郎はいつものあの子と
いつもみたいにしっくり行かない
雰囲気に違和感を覚える
「おしゃぶりいいから いつもみたいにやらしてよ」
「・・・・(えっ!)・・・・・・」
「店長! 店長! 来て! 誰か来て! 」
「・・・・(えっ!)・・・・」
ーーーーーーーーーーーーー
「おれって誰だ??」
愕然とする山田太郎
ーーーーーーーーーーーーー
旅先のうら寂しい港町にポツンとある
「スナック ひとみ」に
一人飛び込んだ瞬間
店内のざわめきが急停止して
視線が集まる
ほんの一瞬だったんだろうが
とても長く感じられる時間である
常連客と一元客
店内はもとの喧騒を
取り戻した
山田太郎は山田太郎として
承認を受け初めて
山田太郎として自分の存在が自覚できる
一元客はだれからも承認が
受けられず居心地が悪い
性同一性障害の男の子ハルヒは
例えて言うならば
こんな状態の日々を
過ごしている 21年間も・・
日常触れ合う人々との
当たり前でありふれた
コミュニケーションは
無限とも言える前提条件の
相互確認作業があって成立する
男 女 子供 老人・・・・
指しゃぶりをする幼児には寛容でも
私がぶつかれば
凄まれ殴られるかもしれない
こんな相互の確認に
大きな隔たりが生ずれば
会話も成立しないばかりか
人間関係そのものも
成立しずらくなってしまう
ニューハーフとして・・・・
おかまとして・・・・
同性愛者として・・・・
これらの選択肢も
アイデンティティーを確立
する方法なのかもしれないが
それをも拒絶したハルヒに
カメラを向け続けようと
したものの弾かれてしまった
弾かれたのではなく
自分から退いてしまった
という方が正確かもしれない
つまり撮る自信が喪失したと言う事
ハルヒと言う人間に存在承認を
与えれられなかったのか
私の存在に承認を
与えてもらえなかったのか・・・
お互いの心奥深く入り込む
予兆すら生まれなかった
私の未熟さを棚に上げた
はなはだ高慢な結論ではあるが
自分の存在承認を拒絶され
続けて来たハルヒのこれが
自己防衛本能だったのかもしれない
さようならハルヒ
一度は未編集棚に入ったが
ハルヒが忘れられず引っ張り
出してきた
こんにちは ハルヒ
社内コード「男と女が女です」
正式タイトル「女度100% ハルヒ」
コメント
男として、女として…身体の創りに縛られて。
自分の身体が憎く感じた事もあるでしょうに…
性別に疑問を持った事のない私ですら、違う意味で自分の身体を嫌ったこともあります。
皆、どちらの気持ちももちあわせているのではなかろうか???
たまには、深く考えてみます…
2009 年 2 月 7 日 3:58 AM posted by 602
ハルヒも性別に疑問は持ってなかったなー
ただ周囲の人とか法律がハルヒが自認する性別を
認めないんですよね
2009 年 2 月 8 日 12:19 AM posted by 安達 かおる
性別という概念に
多種多様な人類が着いていけてないのかな、
とも思いました。
2009 年 2 月 9 日 6:40 PM posted by 602