我がまま女優をへこますいい方法教えます
女優さんをへこませるとてもいい方法があります
携帯電話です
都内での撮影ではほとんど経験する事はないが
地方のちょっと人里離れた場所では
携帯電話が入らない事があります
女優さん方は大パニック
携帯電話をシェイクしながら
電波を求めて部屋中を
悲壮感丸出しで走り回る
その姿についつい見とれてしまう
「人の振り見て我が振り直せ」
と言うことわざ通りで
自分も例外ではないが
待つ事が出来なくなってしまった
現代人について考えさせられる
シーンである
制作現場では顔を会わせると昼夜を問わず
「おはようございます」が一般的だが
顔会わせた瞬間
「今日何時に終わりますか」と
聞かれる事がよくある
「何分フェラすれば行かせられますか」
と切り返す事にしている
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・でしょう」
たいがいこんな会話で不届き者を丸るめ込む
事にしているのだが
この腹立たしい愚問は理解もできる
３０分後に動き出す電車を待つか
いつ動くともわからい電車を待つのでは
心理状態に格段の差がある
３０分後と言う結論があれば
その目標に向かって前傾姿勢でひた走ればいい
だがいつ動くともわからない電車を待つ事は
期待と不安の入り混じった
「待ちこがれる」「待ちわびる」状態だ
その状態から一歩も前進ができない
約束の時間に相手が来るか来ないかの
不安はほとんど経験しなくて済むようになった
携帯電話のおかげである
遅れる事がわかれば
「ふざけやがって・・・・」と
怒りつつもパチンコや買い物に
時間を費やせばいい
一方待ち人が来てくれるのか無視されたのかが
わからなかれば少なからず動揺する
その不安な気持ちを打ち消そうと
「忘れ物を取りに返ったに違いない」
「不意の来客で出るのが遅くなったんだろう」
などと思いをめぐらせ
「やって来る期待」度を上げようと努力する
その努力で相手を思う気持ちはますます強くなる
感性も研ぎ澄まされ豊かになる
不思議と怒りの感情は湧いてこない
「待ちわびる」は人間成長の肥しにもなる
携帯電話やメールでは
返信しない側が揶揄される
出した方が正義で受ける側が
「返信しない」言い訳を
しなければならない妙な構図が生じる
それは相手にメッセージが伝わっている事が
確認できるからだろう
つまり声をかけたが「しかと」されたと
言う事になってしまう
待つ不安から解消された分
思いやりや情も薄れて来たような気がしてならない
目標に向かってひた走る前傾姿勢に
違った考えを受け入れたり相手の状況を思いやる
余地はない
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